(IT)技術者がまともに尊敬される世の中に変わるために、何が必要か…久野先生との対話と反論
久野先生と、以下のような対話が有りました。(直接の面識があるわけではありません、念のため。 先生の著作 は好きですよ、ふふふ…)
ニコ生でIT学んでもIT土方になるだけだからというコメント流れてたけどまさに。 だから初等中等でプログラミングや情報科学に接してもらうことの目的は、技術者がまともに尊敬される世の中に変わるためだと思っています。 #ipsjsss
— 久野 靖 (@ykuno) 2015, 8月 18
うーん、たとえ情報科学に親しんだ人が増えても、それで IT 技術者が尊敬される世界を作れるかは、私は懐疑的です…
今より上手に、こき使われる未来も、同じくらいあり得るのでは?と。教育だけでは「尊敬される未来」には届かない気が…>
https://t.co/jZHvvR0hYC
— hkoba (@hkoba) 2015, 8月 18
少なくとも今のまま「技術なんか知らん、金払えばいんだろ」はダメです。 まずは皆が知るようになって欲しい。その先さらに何か必要なことがあると判明するかも知れない、それはそれでその時に考えようよ。 https://t.co/XaIPRu4ABB
— 久野 靖 (@ykuno) 2015, 8月 18
私の反論が長くなりそうだったので、一旦こちらにまとめてみます。
私の考え
IT 技術者 以外 の、世の中の普通の人たちにも、プログラミングや情報科学の知識を広めることが、 世の中を良くするだろうこと は、勿論私も同意です。
『技術なんか知らん、金さえ払えば良いんだろ?』という(ビジネス側の)人間を、教育によって、生まれる前に消し去りたい…その気持ちも分かります。
ただ、IT 土方と呼ばれるような 奴隷っぽい扱い を本当に無くしたいなら、 最も大事なことは、 IT技術者側が、皆揃って、理不尽な扱いに抗い、拒否すること ではないか、 と私は考えるのです。そうして IT技術者を雑に扱う企業が淘汰されていく社会 を作っていく方が、 もっと直接的で効果的なのではないか、と。
そして、そのために鍵となるのは、
IT 技術者も、非技術側の人間に頼らずにビジネス社会を生き延びられるだけの、複式簿記など商いの知識と、 お金の関わる交渉事をこなす胆力を身につけること
IT 技術者自身が、起業したり社長になって、 IT技術者を大事にする企業を作り、 技術者が幸せになれる商取引の形を交渉して勝ち取っていくこと(ex. 「納品のない受託開発」、フリーランスな私の場合 - hkoba blog)、 技術者を使い捨てる会社を淘汰するべく戦うこと…
ではないか、そう私は考えています。
『技術の価値を知ってもらえれば、扱いが変わる』?
他人が自分たちをどう扱うかは、結局の所、他人の自由意思ですので…
@hkoba 社会の全員がお人好しの善人である事を前提に未来を描くのは、好みじゃないなぁ、みたいな。
ちゃんとずる賢い人が沢山いて皆が利己的に振る舞う前提で、そこそこ悲惨にならない未来を描く、くらいが好み…
— hkoba (@hkoba) 2015, 8月 18
『世の中の IT 知識の底上げ』は、勿論大事なのですが、 知識はあくまで中立な力でしかないので、 それをパワー・ハラスメントの道具に使う人間だって出るでしょう。
もっと言えば、 技術しか興味のない人間 (人間社会とガチンコで対峙し日銭を稼いで生き抜くことから、逃げた人間)は、 ビジネス層にとって、尊敬できる存在ではない、ように、私は想像します。むしろ、 カモにしても心の傷まない くらいの存在ではないかと。
そんなわけで、繰り返しになりますが、 もしゴールを『(IT)技術者がまともに尊敬される世の中』と設定するなら、 もっと直接的に『IT技術者を尊敬しない、大事にしない企業から、 技術者がどんどん流出して、淘汰されていく社会』を 志向した方が効果的ではないか?。
つまり、IT技術者自身が、理不尽な仕事を突っ込まれた時に、 ちゃんと No を言えること、 Win-Win or No-Deal を実践できること…
それが大事なんじゃないかな〜、と思っています。