hkoba blog

プログラマーです。プログラミング言語ミーハーです。ツッコミ歓迎です。よろしくどうぞ(能代口調)

YAPC::Asia 2014 感想

今年の YAPC::Asia Tokyo 2014 も楽しかった!ので、少しだけ感想など書いてみます。

面白かったトーク

tokuhirom 氏: “お待たせしました。Perl で BDD を簡単に実践する最高にクールなフレームワークができました - YAPC::Asia Tokyo 2014

単体テストをもっと分かりやすく書くための、Test::Kantan の話。

is とか is_deeply を使わなくても式渡しで ok {$obj->meth == $val}; みたいに書けるようになる、power assert 的なもの。ついに perl にも来ますよ、と。これは是非使ってみたいです。

  • 内部テストの個数を 1 だとしてしまうのは、意図は分かるものの、「自分が何個テストを書いたのか=自分がどれだけ頑張ったのかの指標」が減って、ちょっとしょんぼりするかも?です。

moznion氏: “Perl::Lint - Yet Another Perl Source Code Linter - YAPC::Asia Tokyo 2014

Perl スクリプトの静的解析の話。

具体的な解析ポリシーのコード例と苦労話を聞かせてもらえたのが非常に良かったです。(自分自身では Critic / PBP スタイルとは若干違うスタイルを磨いてきてしまったので、直接うちに導入できるとは限らないのですが、このような静的解析の具体的事例としても非常に参考になりそうだと感じています。)

  • playgroundで試せるのも良いですね。
  • もっとも、「何故、どんな理由でこれがダメなのか」を PBP に遡って引くのが、結構面倒で…(><)

Hideyo Imazu氏: “TWiki − Perlで書かれたプログラマブルでglueでスケーラブルなCMS - YAPC::Asia Tokyo 2014

モルガンスタンレー(!)で TWiki がどのようにインフラとして活用されてきたか、の話。

一個インストールすれば複数wiki が立てられる?っぽく聞こえました。それは確かに、社内マニュアルシステムに適していそうだなぁと。うちの現場でも業務マニュアルを Wiki に置いていますが、長年の運用の結果、ページが増えすぎたり、一ページ内に複数の情報を詰め込み過ぎたりで、情報の検索粒度が問題になっています。それを別立ての Wiki に分けるのが容易であれば、そういう問題も無くなるのかもしれないな、と。拡張が豊富&容易、というのも興味深いです。TWiki は全くチェックしていなかったので、少し調べてみようかしら、という気になりました。

uzulla氏: “半端なPHPDisでPHPerに陰で笑われないためのPerl Monger向け最新PHP事情(5.6対応) - YAPC::Asia Tokyo 2014

今時の PHP 事情。

去年の yapcasia 以後、八王子pm にちょくちょく参加させて頂いていたので、主催の uzulla さんの熱い PHP トーク自体は何度も拝見していたのですが…

今までで一番凄かったです、そして、ベストトーク賞おめでとうございます!納得の受賞ですよ、はい。(私も uzulla さんに一票入れましたよっ)

Sawyer X氏: “Plack for Fun and Profit (But Mostly Profit) - YAPC::Asia Tokyo 2014

Dancer/Dancer2 の Sawyer X による、booking.com での PSGI 移行プロセス解説。

前段にマルチプレクサ的な PSGI アプリを置くことで、部分url 毎に別のサブ PSGI アプリとして分けた。その上で、サブアプリごとにビジネス的に実現可能な範囲の改善策を取った、と。正しく定石通りの divide and conquer が機能した事例。これも非常に参考になるなぁと。

songmu氏: “Perl for Perl Mongers (YAPCに来た人は皆Perl Mongerでは?)

個人的に刺さったのは

karupanerura氏: “Perl5 meta programming - YAPC::Asia Tokyo 2014

Perl メタプログラミング事情の話。

私も仕事柄、メタプログラミングは避け得ないものの、どんな便利なモジュールがあるのかについて十分調べきる余裕がなく、またメタプログラミングについて意見交換出来る人も中々居ないので、こういう発表はとても有難いです。内容も整理されていて、使うべき手法の優先順位をつけながら解説していたのがとても良かったです。

hitode909氏: “Perlの静的解析入門とPerlリファクタリングツールApp::PRTのご紹介 - YAPC::Asia Tokyo 2014

sed とかじゃなく AST ベースで安全確実にメソッド名などを書き換えることが出来る…おおぅ、こういうのは大好きです。なんとか導入してみたいです。

個人的な出来事: gugod が g0v について話してくれたこと

Kang-min Liu (gugod) on Twitter氏が一日目のLTで話してくれた、“g0v .tw 零時政府”、LT では(英語は聞き取りやすかったものの) 理解しきれなかったので、懇親会待ちの間に慣れない英語で質問してみました。

(以下、2日前に英語で聞いたものを記憶から辿って書いているので、間違っていたら済みません)

g0v (彼は gov zero と呼んでた、ように思います。もうひとつの呼び方も有ったかも?)は、社会・政治に関するデータをプログラムの力で visualize していくことで、社会の透明さ(=公平さ、フェアさ)を増してゆこうとする運動、っぽいです。

最初、私は、彼らが「政府を置き換えるもの」を作ろうとしているのかと思ったのですが、そうではなく、政治と社会を良くするための運動であって、敵対しているわけではないそうです。(もっとも、それは彼が今の政府を好きという意味ではなくて、単純に社会を良くするという目的に集中するための、 practical な態度、という感じでした)

今年?少なくとも二度?彼らのデータが大きく報道され、実際の政治を動かしたことがあるそうです。また、g0v が政治を動かし、それがまた g0v を進化させる、そんな双方向的な関係である、というような言い方もしていたように思います。

今年の春に cnn/bbc などでも盛んに流れた、国会へ学生が立てこもった際にも、彼らの一員(である唐鳳 (audreyt) on Twitter?)が?国会に届く wifi を設置して、国会の内情を国民に知らせる支援を行ったそうです。そのお陰で、国民は怖がらずに済み、 violent にならずに済んだのだと。

私が驚き、かつ羨ましく思ったのは、 g0v のような「political」な活動に、 300 人?ものプログラマー(一人を除いて全員が台湾人)が参加している点です。現代日本人は政治的な活動に関わることを(全方位的に)嫌がるので、日本で何百人も協力者が集まることは、余程上手に無色化しないと無理だろう、そう私は思うからです。彼も別に好きで political な活動に関わっているわけではないらしく、ただ、政府がダメだから、自分の出来ることで台湾社会を良くしていこう、という感じでした。

私が、日本人は政治的な活動を忌避しがちなんだ、と片言英語で言った(つもり!)ら、 彼は、台湾人が政治に関わろうとする背景には、やはり政治弾圧の、困難の歴史があるからだろうね、 という感じのことを言っていました。また、彼は、台湾人は自分たちの政府を持ったことがない、とも言いました。 国民党政府、日本、清、オランダ...

それを聞いてようやく、彼らを動かしているものが分かった気がしました。 彼らには渇望があるのです。社会を良くしよう、自らの手で政治を動かせたらどんなに良いか、という。 その渇望を暴力に向けても今の社会は変わらないから、とにかく現実を一歩々々、良くしよう、と。 民主政治の精神、ここに有り、ってなもんです。

それに比べて、日本の投票率

ホント、なんとか出来ないものですかね…